自分の思いを現実にするって凄いことだ。
2009−2010ノースショアは、エディとパイプをフルスロットルで駆け抜けたのだから、ワキタにとっては仕事をやりこなした冬だったに違いない。しかも怪我らしい怪我もなかった。ノースショアという過酷な環境のなかで、5ヶ月間に渡る長期ステイ、しかも今シーズンは類を見ないビッグウェイブシーズン、これを大したアクシデントもなく乗り切った。サーフィンに集中し切っていた、その環境をキープできた、これも凄いことだ。3年前から使っていたワイメアガンは2本とも折れてしまったが、それと交換にワイメアライダーとしてかけがえのないスピリッツとスキルを学ぶこともできた。
ノースショアにワキタのパフォーマンスを疑うものは一人もいないだろう。彼がいくところ、波に乗れば、オー!ワキタ! という声が聞こえてくる。パイプライン正面に鎮座するヴォルコムハウスの中からも聞こえてくる。サーフファースト誌♯086号でカバーショットとなったパイプラインライドもたった一日で決めた。チャンスを逃さない。しかも、そこで決めてくる。パイプラインにかける情熱と行動はローカルも脱帽。ハワイアンキッズからはリスペクトされる存在である。
「パイプとワイメアで精一杯。充分に足りてます。学ばせてもらっているという気持ちを忘れたくないです。パイプにしても、ワイメアにしても、そこでサーフィンするのは、盲目的に写真を追い求めてサーフィンしているわけではなくて、そこでサーフィンするのが好きだからです。ワイメアは確かになじんできました。ピークをメイクしてショアブレイクまでいくことが出来るようになった。パイプはフロントサイドのバレルだから、もう少し楽しんでいるかも(笑い)。」
「怪我だらけで凄いですよ。怪我で満身創痍。パイプで削られた両臑は2ヶ月たっても傷口が開いてるし、この前は尻からリーフにヒットして尾てい骨がまだ痛い、腰にはヘルニアが3カ所ある。ワイメアやパイプで巻かれると、最初は首にきて、それが腰に来る。ホグレル(東京日本橋&八丁堀)というジムに通って本気でテイクケアは欠かしません。治ってないし、痛いんです。」
「4ヶ月もノースショアにいるのは、少ないチャンスを絶対にミスしたくないからです。少ないチャンスの時に、そこにいることが出来るかどうか。自然は自分にスケジュールをあわせてはくれませんから。プロサーファーとしてそこにいるということを、まずは最重要にしているということです。」
「ここ5年でノースショアから友が去っていく中、気持ち的になえてきた部分もあります、でもその分を家族がバックアップしてくれています。家族でサーフィンするようになりました。妻のサユリは泰地(11歳)を生んだ後からサーフィンを始めたんですけど、時間があるかぎりサーフィンしたいと海に入りまくってます。その熱い気持ちに触発されるときがあるくらい。見習ってます。長男の泰地はやる気が出てきました。サーフィンに真剣になってきた。今はサーフィンの試合で勝てなくても、サーフィンを好きだという気持ちが大事。楽しんで欲しいですね。最後に長女のサラ(7歳)も、とうとう今シーズンからサーフィンするようになりました。やる気が凄い。それに才能があるようだしバランスもいい。兄貴に追いつけ追い越せと頑張ってます。2人目だからほったらかしてきた、だから何でも一人でやる、それがサーフィンに対するやる気につながったようです。これで家族全員揃いました。全員で海に行けるようになりました。」
2月の下旬、ワイメアのニューボードが出来てきた。9’8’’と10’0’’のトコロ。それと、おまじないにチャックさんの9’6’’。ワキタはどうしてもチャックさんシェイプのボードでワイメアをサーフしたいようだ。自腹を切ってチャックさんにオーダーしていたのだ。そして1月11日のクラッシュ以来1ヶ月ぶりにワイメアに乗ったのが9’8’’。スモールワイメアだったから3時間みっちり乗れた。グッドフィーリングだから、もう少し慣れてからが楽しみという。10’0’’は持った感じでベストでいけそうです。そう言い切っていたからさらに楽しみだ。ボードを持っただけで、持った感じでマニューバーがイメージできるのなら大丈夫。10’0’’は長いというインプレッションがあるが、普通に持てたというところがいい。パイプでもワイメアでも、そこでサーフィンするのが好きなこと。自分で出来るうちは追求していきますと言い切れる自信。まだまだワキタからは目が離せない。来シーズンの熱いチャージが楽しみだ。