https://www.surfline.com/surf-news/keito-matsuoka-wins-oneill-wave-winter/47857
松岡慧斗によって、日本のサーフィンにおける常識を塗り替える快挙が達成され、そのご褒美にWave of the Winter という偉大な名誉が彼に授与された。
ビッグサイズでパワフル、しかもグリングリンに掘れ上がるバレル。日本とは次元が違うサーフブレイクが押し寄せる冬のシーズンのハワイ。そこで繰り広げられるサーフィンシーンは世界広しといえども、この時期ここだけにしかない特別なステージであることはご存知の通り。
慧斗が乗った波は、今年1月に行なわれたダ・フイ・シュートアウトのヒート中にやってきた正真正銘のパイプライン。ギリギリのタイミングでビッグピークからのエアードロップを決め、パイプ名物のボイルを見事なレイルワークで切り裂き、そのまま絶妙なバックサイドグラブレイルで分厚いバレルへとプルイン、そして爆発したかのようなブレイクに飲み込まれたと見えた慧斗が真っ白なスピッツから余裕のスタンスで吐き出されてきた。
O’Neill Wave of the Winter とは、その名の通りに、冬シーズンのハワイで、誰が一番凄い波に乗ったか、そして誰が一番見事なサーフィンをメイクしたかを決めるアワーズであり、9回目となる今年度も、昨年の11月から今年の2月末までにメイクされた数々のパーフェクトライドがノミネートされていたが、この1発で見事に松岡慧斗がタイトルを獲得。この冬のハワイで一番凄いサーフィンを見せたのが日本人だということを世界のサーフィンコミュニティーが認めてくれたのだった。
日本人のパイプラインアタックは1975年過ぎの昭和50年代からスタートを切り、以来数多くのジャパーニーズがパイプラインの波にしがみつきながら研鑽を積み重ねてきた。そして時代は平成へと移り、ジャパニーズも次第にハワイ・ノースショアでも認められる存在へとステップを刻み、パイプラインでは脇田貴之が編み出したワキタピークを経て、平成生まれの慧斗が平成最後の年にやってくれたWave of the Winter という快挙へと繋がった。
日本の新しい時代”令和”の幕開けまであと一月あまり。そしてサーフィンがオリンピック種目として競われる東京大会まで一年。ジャパニーズサーフィンに残された課題としては、ハワイでいえばパイプラインマスターズを筆頭とするトリプルクラウン3試合での優勝。さらにはワールドサーキットでの優勝ならびに世界チャンピオンの獲得など、まだまだ先に夢の実現が控えている。これから先のジャパニーズ・サーフィンシーンがどんな発展を見せてくれるのかが楽しみだ。