ボルコムパイププロは2日目となり、パイプラインはセットのサイズは充分だがノースディレクションが強く、風向きも悪くオンショアでチューブになる波が少なく、かといってバックドアが素晴らしかったかというとまったくその逆で、波を選り分けメイクしたものだけが勝ち上がる、生き残りをかけた厳しいコンテストとなった。
今日も村上舜はキレていた。ヒート前半をノーライドで終わり、後半に入ってからやっと波を見つけた一瞬の判断がすべてだった。狙いすました絶好の位置からテイクオフするや、いきなりフル加速のドライブターンからディープにチューブへプルイン。バレルのカーテン越しの影に息をのんだ瞬間、スピッツに吹き出されてくる村上舜のガッツポーズが目に飛び込んできた。かっこ良すぎる! この1発でフレッドP を一気に追い越してトップへ躍り出て勝利を確定した村上。いつも通りにチューブになる波を見つけ、いつも通りにメイクして出てきた。すべてはいつも通り。まだまだ勝ち上がれる。次の4回戦を勝ち上がればシュンにワールドクラスが見えてくる。
すでにワールドクラスで戦っている男が大野修聖だ。最後の最後になってもチャンスがあるかぎり絶対に勝負をあきらめない。ヒート終了カウントダウン寸前、バックドアへとテイクオフした大野がショートレンジだがバレルをカバーラップしてドギードア風にプルアウト。大野の背後で波はシャットダウンしスープが爆発し終了ホーンが鳴り響いた。この1発で勝負は決まり。大野は3点差をひっくり返し、4位で敗退するところを2位でジャンプアップ。プロフェッショナルであることを分からしてくれた。