波乗りでん助

~ サーフィン総合研究所 ~

サーフィンの歴史に名を残す名シェイパー、モーリス・コールさん、還暦を迎えた今もかわらずエネルギッシュです。

5月 29th, 2014 · No Comments

80年代後半から90年代にかけてのトム・カレン、そして1992年から現在までに11冠のケリースレーターと、それぞれの時代を彩る2人の世界チャンピオン。そのタイトル獲得の陰で彼らにマジックボードを提供し、シェイパーとして大いに関わったとされるモーリス・コールさん。来日中でインタビューの時間をくれたので、20年ぶりに会いにいきました。
モーリスさんとトム・カレンのリレーションシップは1989年にフランスのハセゴーで始まった。ビクトリア生まれのオーストラリア人コールさんと、サンタバーバラ出身のアメリカ人カレンさん、この2人が初めて口をきいたのが8ftのセットが炸裂するキャブリントンの波の中だった。カレンは6’1’’のアル・メリック、モーリスさんは自作の中でもベストバレルボードの6’8”。結果はおのずと明らかで、すっかりモーリスさんのサーフィンに心酔したカレンは翌日、待ちきれない様子でモーリスさんにボードを頼みにきたそうだ。こうして6′9”のマジックボードを得たカレンは、翌年の世界ツアーに6’1”のアル・メリックと6’9’’のモーリスシェイプの2本で参戦。途中からはモーリスシェイプでEPSの6’0’’を加え、これでトム・カレンは5年ぶり3度目の世界チャンピオンに返り咲く。
 
一方のモーリスさんは、カレンのチャンピオン獲得直後、前足直下がVeeでフィンの間がフラットという、それまでのボトムデザインの概念を突き破ったリバースVシステムEEV を完成。その年の冬、EEVは黄色の6’8’’ガンに仕上げられ、トリプルクラウンの緒戦ハレイワのハワイアンプロでトム・カレンがライドし、切れ味抜群のカービィングマニューバーを炸裂させ優勝。一躍世界中のサーファーがEEVに注目、とくにプロサーファー達は鋭い加速と切れ味シャープなターンを絶賛。一冬にしてEEVブームに火がついたのだった。
今年に還暦を迎え、サーフィン歴は48年、シェイプ歴だって40年を数え、シンプルに頑固にサーファー&シェイパーのライフスタイルを貫き通しているモーリスさん。17歳でビクトリア州チャンピオンを獲得するほどのコンペティターであり、ビッグウェイブが何よりも好きだったことから、波が豊富でサーファー人口がまだ少なかったフランスへ1982年に移住。ヨーロッパのサーフィン発展に大きな役割を果たしながらも、1998年には本国オーストラリアのマーガレットリバーに戻りタジ・バロウをサポート。5年前には大病を見事に克服。その後もサーフィンとシェイピングを見事に両立させたライフスタイルを楽しみながら、大好きな日本には毎年春と秋の2回のペースで来日。モーリスのボードはスピードが出る。行きたいところにもっていける。スピード&マニューバビリティーを高い次元でベストマッチさせることがモーリス・コールのシェイピング哲学。おかげで数えきれないほどのモーリスファンがオーダーの出来上がりを待っている。

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