パイプラインが炸裂!
強烈にほれ上がる波の中を自由自在に加速しながらチューブライディングを決めまくる。しかもファイナルデイの波は10ftオーバー。ビッグセットが炸裂するマックスパイプラインをどう乗りこなすのか。今年のマスターズは凄いやつしか勝ち残れない、真のパイプラインスペシャリストが決まる大会となった。
パイプラインを乗らせたら一番上手いサーファーのジョンジョンとキングケリーのファイナル対決となった。
勝負の結果からすれば、ジョンジョンがよくやったけど、やっぱりパイプラインでは今のところキングケリーに誰も勝てない! それは今大会不出場のジェイミー・オブライエンがもしいたとしてもマスターズの結果はかわらなかっただろう。試合後、ケリーは表彰台で来シーズンのASPツアーへの参戦も表明。チャンピオンがとれなかった時の去就が取りざたされていたが、確かに誰にも負けないんだから引退する必要なんか無いね。
ジョンジョンとキングケリーの差は年輪の差だけかもしれない。ファイナルヒートが始まる前にステージに登壇した2人が発するオーラは大人と子供。ちびっ子ファンが仮面ライダーに向かっていくみたいに、サーフィンを始めた頃からチャンピオンのケリーに立ち向かうジョンジョンは、すでに余裕たっぷりのケリーに飲み込まれていた。2年前のパイプ対決はキングケリーのウルトラ大逆転で決着。ジョンジョンはキングケリーに薄氷の思いをさせたが、今大会はジョンジョンがキングケリーにわからされた。その差は縮まるどころか、今度は越えられない壁をジョンジョンが突きつけられたかたち。しかしこの壁をぶち破った時こそ、ジョンジョンが世界チャンピオンとなる時。それはすぐ先のような気がするのだが?!
何が何でも3度目の世界チャンピオンは自分で勝ち取る。それにはクォータファイナルを自分が勝ち上がればいい。ミックには強い信念というものが感じられた。ケリーよりも先に負けたらチャンピオンは確実にケリーに持っていかれる。ミックはそう確信していたんだろう。そんなミックの前に立ちはだかったのがジョンジョンだった。パイプライン&バックドアを蝶のように舞い蜂のように刺すジョンジョンがミックは苦手なんだと思う。ラウンド4では状況判断で捨て身のインターフェアまでしてジョンジョンとのクォーターファイナル対決を避けた結果、ヤーデン・ニコルとのクォーターファイナル対決で見事勝利。とうとう王座へとたどり着いたミック。オージー得意の計算高い堅実な戦略に強い意志と強靭な体力がミックをチャンピオンへと導くこととなった。
今年のマスターズ・ファイナルデイは土曜日と重なってたことでビーチに詰めかけたギャラリーは1万人越え。マスターズ史上空前の人出となった。